早岐駅前の感じの良い駅前旅館を朝6時半にチェックアウトして、早岐発6時49分の佐世保行きに乗った。西国の九州は夜明けも遅く、夜と朝の境目を列車は往く。7時02分、佐世保着。ここから松浦鉄道に乗るためにホームを走る。次の列車は7時04分発の伊万里行きで、この列車を逃すと1時間後の8時05分まで列車は無い。

 7時04分発の列車になんとか乗れた。

 松浦鉄道は長崎県と佐賀県にまたがる北松浦半島の海岸沿いをぐるりと回る全長80.8kmの路線で、途中に日本最先端の駅、たびら平戸口駅を有する。厳密には日本最先端の駅は沖縄都市モノレールの那覇空港駅だが、軌道に限ればこちらの駅の方が日本最西端の駅に相応しい。なおJRの最西端の駅は先程ホームを急いで走った佐世保駅で、東経129度43分の場所に位置している。駅舎にはそれを示す木造があるらしいが、2分接続では流石に見る余裕はなかった。

 佐世保の市街を高架で抜ける。佐世保は坂の街で、山肌いっぱいに住宅が張り付いている。長崎に似ているなと思い始めてきた。佐世保を出るとすぐに佐世保中央駅に停車し、道路を渡ってすぐ中佐世保駅に着く。この間の駅間距離は200mで全国最短とのことだ。スマートフォンの地図アプリを立ち上げるとこの先の松浦鉄道は内陸部を走り、海は暫くおあずけらしい。日曜日の朝だけあって単行の車内はガラガラで、朝日を浴びつつ佐世保市の郊外を淡々と走る。

 7時47分、佐々着。かつて炭鉱として栄えた駅で、このあたりまでが佐世保の郊外らしく、日中でも20~30分間隔で列車が走っている。佐々川に沿って登り、吉井の先で列車は向きを180度転回させて今度は西を目指す。平戸瀬戸と平戸大橋がちらりと見え、8時35分たびら平戸口駅着。ここで列車を降りた。

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 日本最西端の駅にやって来た

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 東経129度34分

 松浦鉄道には以前乗ったことがあるが、この駅で降りるのは初めてだ。ようやく来れた、といった気がする。さっそく駅で鉄印を貰おうとすると「何か切符を買ってください」と言われてしまった。どうせ来駅記念に何か切符が欲しかったので丁度良い。駅舎の一角に鉄道記念館があり、自由に扉を開けて見ていってもよさそうだ。8メートル四方の部屋に国鉄時代の遺物が展示されてあった。

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 たびら平戸口駅、鉄道記念館

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 では、先を目指します。

 9時48分発の列車でたびら平戸口駅を後にする。またいつかこの駅へ来ることもあるだろう。そして九州鉄印修行の旅もこの駅で終了だ。後は海を見ながら松浦鉄道で伊万里へ出て、筑肥線に乗って博多へ出る。この後九州の友人と落ち合うことになっている。お互い会うのは久々なので楽しみだ。

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 海を見ながら

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 終点、伊万里着。

 友人に博多の街を案内してもらい、夜はもつ鍋屋へ連れて行ってもらった。夜は18時40分発のバスタ新宿行き「はかた号」を予約してある。美味しいもつ鍋を頂きつつ、私は焼酎の水割りを頼んだ。友人も酒が強いようだった。